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「誰と電話してたの?」 そんな言葉と同時に肩に重みを感じる 振り向くとそこには俺の愛する女性がいた 「美香」 「・・・やけにあっさり言うのね」 別段、怒っている風でもなくきょとんとした顔になる いつもより僅かに上擦っている声のトーンが少し気になった 「別に何もやましい話はしてないからね」 「ふーん」 「怒った?」 「別に?」 俺の右肩に体重を乗せながら胸を押し付ける 「何を話してたの?」 「ん?明日カラオケでも行かないかって誘われてさ」 「何て答えたの?」 「何て返事したと思う?」 少し膨れっ面になったその人の表情を愛おしく見つめる 笑みを浮かべる俺に反して冷ややかな視線が俺の瞳に写る 「バカだな。行くわけないだろ?」 そう言って軽く頭を撫でてやる 「・・・」 「姉ちゃん以外の女と遊びになんか行くかよ」 「・・・本当?」 「当たり前だろ。姉ちゃん以外の女は目に入らねーよ」 「祐!」 「うわっと」 勢い良く飛びついてくる。姉ちゃんのクセみたいなもんだ バランスを保てなくなった俺はベッドの上に馬乗りで押し倒される 「明日は仕事、休みだろ?」 「うん」 「俺もそれに合わせて、明日は予定空けてあるんだ」 「祐・・・」 「明日は2人で過ごそう」 「好きよ・・・祐」 「俺も好きだよ。姉ちゃん」 甘い口づけ。しっとり濡れた姉ちゃんの唇が俺の唇を覆う 「んっ・・・」 「は・・・ぁ・・・」 微かな水音を立てて唇が離れる 少し離れたお互いの顔に視点が合う 「また姉ちゃんって言ってる」 「悪い、クセでさ」 ヒンヤリとした手が俺の胸板をまさぐる 「名前で呼んで・・・?」 頬を俺の左肩に這わせる 「佳織・・・好きだよ」 熱い吐息を首筋に吹きかけられながら姉の名を呟く 「ん・・・私も・・・好きだよ、祐」 「佳織」 「なぁに?」 「乳首を弄るのはやめてくれない?」 「どうして?」 「どうしてってそりゃ・・・」 「感じるから?」 妖艶な笑みを口元に浮かべる 普段のイメージとは異なる、妖しい魅力 「不公平よ。祐はいつも私のを弄るくせに」 「彼氏の特権だろ?」 「彼女の特権よ」 それなら。と、佳織の耳を甘噛みする 「ひゃんっ」 ビクッと体を震わせる。瞬間、キッと俺を睨む 凛とした瞳。揺るぎない眼。ずっと見つめていると吸い込まれそうになる そんな瞳。俺が好きな瞳だ 「祐。耳はダメって言ってるでしょ」 「感じるんだろ?」 今度は舌で耳を愛撫した 「んっ・・・だめ・・・だって」 「佳織は耳が弱いよな」 「んっ・・・だってぇ・・・」 目をギュッと閉じ体を縮こまらせて小刻みに悶える その表情、仕草の一つひとつが愛おしい この人を見ていられるだけで幸せになれる俺はお手軽な奴かも知れない 「佳織、目ェ開けて」 「ん・・・」 その瞬間すかさずキスをする 舌を入れて目を開けたままでのキス お互いの舌を絡ませあいながら歯茎の隅々まで舌を這わせる それ程饒舌ではない俺が一番舌を使うときかも知れない 毎日飽きる程の口づけを繰り返し、歯の形、歯茎の造り、舌の長さ 互いのそれが手に取るようにわかる 夢中でお互いを求め合うこのときが一番深く愛せているような気がして 俺の一番好きな、至福の時だと言っても過言ではない 唇を離したとき、舌を出したままにするのは佳織のいつものクセだ お互いの唾液が交じり合った透明な糸が舌と舌と繋ぐ 「祐、キス上手くなったね」 「先生がスパルタだからね」 「祐が一生懸命なんでしょ」 ニッと笑う。その顔がたまらなく可愛い 一呼吸おいて俺の言葉を待つ 「まずおはようのキス」 瞳を大きく見開いて瞬きする 「次に行ってきますのキス。送っていった先でもう1回キス」 「・・・」 「職場に迎えに行ったらお出迎えのキス、おかえりのキス」 「・・・」 「後は母さんが居なかったらいただきますのキス。ごちそうさまのキス」 「・・・」 「どちらかが出かけるときは必ず行きと帰りにキス。事あるごとに理由をつけてキス」 「もういいって」 「これしてあげないと怒るのだーれだ?」 「いいじゃない」 「ん?」 少し不貞腐れた顔を下から覗き込む 「祐とキスすると元気をもらえるの。それにすごく幸せな気分になれるし」 「俺は佳織とキスすると愛しさがフツフツと沸いてくるかな」 「本当?」 「抱きしめて離したくなくなる」 「いつもしてくれないくせに」 「仕事に遅れちゃうだろ?」 「祐とのキスでなら遅刻してもいい」 「バカ」 そう言ってまた唇を重ねる。甘美な時は止まらない |
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